「にっぽんの宝物」は、セミナーからグランプリを通して、地方に眠る原石を、全国、世界レベルのヒット商品に育て上げるという企画で、奈良県では3回目の開催になります。
今年は天極堂単独では「くずの子パウンド」、他社とのコラボでは「あらびき椎茸のコンフィチュール」と「萬葉ラムネ」があり、３商品で参加させていただき、全国大会を目指しました。
本当は前回のグランプリで知り合った静岡の西尾商店さんとコラボで「だし葛湯」の新しい味を作れないかと思いました。でも削り節では粉っぽくなってしまうため断念しました。
次に「くずの子パウンド」という案が出たため、モンブランペーストを使ってパフェに仕立ててみたり、曽爾村の柚子を使ったらどうか、瀬戸内産の無農薬レモンを使ったらどうかと試作もしました。レモンはいい感じで美味しくできたのですが、レモンをのせた部分のアイシングが透明に溶けてしまうということもあり、最終的に「葛花ふぶき（梅酒）と「御縁」にパウンドケーキをつけた「ブランデーケーキ天極堂バージョン」のようなものを作り、プレーンを加えた3つの味で出品することになりました。

グランプリは1分のイメージ動画と2分のプレゼンと5分の試食タイム、そしてラスト15秒で思いを伝えます。
限られた時間の中で伝えるためには、一番言いたい事を1つに絞らなければなりません。
3年前に「吉野本葛マジカル体験キット」を作った時は「食+体験」をテーマにしまし、審査員にも葛餅作りを体験していただきましたが、今回は「掘り子さん」から「葛の匠」そして「ケーキ職人」へとバトンが渡されていく感じを出して、伝統が今につながっていることと、原料の葛の根からケーキまでがこんな人、こんな作業を通してつながっていることを伝えたいと思いました。

吉野本葛は葛という植物の根から採ったでんぷんです。
吉野本葛はまず掘り子さんが冬の山で掘った葛の根をつぶし、水の中で澱粉をもみ出し、粗葛をとりだします。
それを葛の匠が攪拌と沈殿、水の入れ替えを繰り返しながら吉野晒の製法で何度も晒し、手間と時間をかけて作ります。
吉野本葛は江戸時代に最盛期を迎えますが、今ではたった４件を残すのみ。
毎年掘り子さんたちが葛を掘ってくれていますが、原料供給のことを考えると今後も吉野本葛の文化を守れるかとても心配しています。
吉野本葛は今では白いダイヤモンドとも呼ばれる貴重な食材ですが、和食を支え、薬にもなる素晴らしい日本の伝統食材です。その葛の魅力を伝えたいという思いから、子供たちもご高齢の方も海外の方も、みんなが食べやすいパウンドケーキの開発に取り組みました。せっかく吉野本葛を使うのだから、小麦粉は使用しないと決めていたため、うまく膨らまず何度も試作を繰り返しました。
しかし、葛と同じマメ科である大豆粉を使うことで、形状もきれいでしっとりとしたバターの風味豊かなパウンドケーキを焼くことに成功しました。
和食離れや和菓子離れが進み、食べる機会も減ってしまっている吉野本葛ですが、私たちはなんとしても吉野本葛という素晴らしい食材を次の世代に食べ繋いでいきたいと思っています。
そのために、山のネットワークを守り、掘り子さんの粗葛をいただき、江戸後期から受け継がれる吉野晒の製法で丁寧に丁寧に吉野本葛を作り、その吉野本葛を使用し、小麦粉やベーキングパウダーは使わず、1本1本心を込めてケーキを焼き上げています。
葛ならではのしっとりと優しいケーキをどうぞお召し上がりください。（くずの子パウンドは天極堂のオンラインショップでご購入いただけます。下の画像をクリック！）

＜素材・加工部門＞

▼グランプリ
・こんにゃくいなり寿司
（長野生産加工組合びょうぶ山桜の郷）

▼準グランプリ
・あらびき椎茸のコンフィチュール
（大和あゆみ農園/さんちゅう/株式会社井上天極堂）

▼準グランプリ
・十津川じびえ塾「鹿肉」
（十津川じびえ塾）

▼審査員特別賞
・萬葉ラムネ
（成光薬品工業株式会社/株式会社井上天極堂 ）

▼特別賞（グルテンフリー賞）
・くずの子パウンド
（株式会社井上天極堂）

▼特別賞（ローカルカルチャー賞）
・錬金葛
（有限会社恵夢経恵寿/グランママ奈良/神崎士郎）

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＜体験・雑貨部門＞

▼グランプリ
・大和の香り体験 七味手作りキット
（結月/工房きえん/さんちゅう/株式会社パンドラファーム/株式会社エール）

▼準グランプリ
・飛鳥・にっぽんのはじまりに学ぶ旅
（一般社団法人飛鳥観光通訳ガイド協会/一般社団法人大和飛鳥ニューツーリズム/カリー事変）

▼審査員特別賞
・THE HINOKI 100
（森庄銘木産業株式会社）

▼特別賞（ナチュラルフード賞）
・食農医癒しの玄米菜食café
（農縁caféピア）