株式会社 井上天極堂は1870年の創業以来作り続けている『吉野本葛』を始め、
柿・笹・柏等各種加工葉、つくね芋、冷凍とろろ、各種野菜ペーストなど製菓食品材料の製造・販売をしております。
天と地の恵みへの感謝の気持ちを忘れず皆様に美味しい心豊かな暮らしをお届けしたい。
今までも、これからも。それが天極堂の想いです。
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天極堂が守り続けている吉野本葛の製法
葛は豆科の植物で、山野どこにでも生えるつる性の植物です。葉は家畜の飼料となり、茎は葛布や工芸品に、根は葛粉の原料となります。
良質の澱粉を取るためには、寒さ厳しい冬、人がやっと歩ける位の山奥に入り、地中深く生えている根を掘り起こします。その根を繊維状に粉砕して水と混ぜ、根に含まれる澱粉をもみだし、吉野晒という吉野地方独自の製法で精製したものが吉野本葛と呼ばれます。
冬の冷たい空気と水で仕上げる吉野本葛は、美しい白色をしています。1kgの葛根から最終製品としてできあがる葛粉はおよそ100gといわれます。
現在では根を掘る人も、良質の葛根が掘れる山も少なくなってきています。そのため江戸時代では澱粉の主流であった葛粉も、今では高価なものとなってしまいました。この葛を、葛の製法を、天極堂は守り続けていきたいと考えております。 -
葛の効能
秋から春にかけて葛の根を掘り起こし、板状かサイコロ状に切って、天日で乾燥させたものを「葛根(かっこん)」と呼びます。「葛根」は生薬の主原料として昔から幅広く使用されており、発汗、解熱、鎮痙作用があると言われています。風邪薬として有名な「葛根湯」には、この「葛根」が用いられています。
また、マメ科の植物である葛の根には、イソフラボンの一種であるダイゼイン・ダイズイン・プェラリン等が微量成分として含まれているのが特徴です。イソフラボンは血中コレステロールの低下に役立つ他、骨粗しょう症や更年期障害などに有効と言われています。 近頃は葛根湯エキスと新薬とを配合した風邪薬が販売されています。
葛の花は中国や韓国では二日酔いの緩和などを目的とした漢方薬として使用されています。近年の研究では葛の花に含まれるサポニンとイソフラボンにアルコールの代謝促進作用があることが分かっています。 -
葛の呼び名の由来
天極堂本社のある辺りは昔「葛村」と呼ばれており、今でも近鉄電車の「葛駅」や、学校の名前にその名残があります。この「葛」という字は後になってクズの中国名「葛藤」の葛の字があてられたものだそうです。
同じ「クズ」で「国栖」と呼ばれる地域が、奈良県吉野郡吉野川上流にあります。日本書紀(応神天皇19年)には「国栖人(クズビト)」が、万葉集第 10巻の相聞歌には「国栖ら(クニスラ)」という言葉が出てくる個所があります。どちらも同じく大和国家以前の山地に住んでいた人々に与えられた呼び方であったようです。
国栖人は主に岩穴に住んでおり、非稲作民で、独特生活様式を身に付けたいわゆる「山人」の象徴的な呼称であったと考えられています。国栖の名は都の人々にも良く知られており、9月9日の重陽の節句に吉野の国栖人が古風の歌舞を奏したといわれております。 国栖人はつる草の根から澱粉をとり、里に出て売ることがあったので、いつしかその澱粉を「クズ」と呼ぶようになり、その植物を「クズ」と呼ぶようになったと考えられています。 -
食用とされるまでの歴史
澱粉の精製法がなかった時代、人々は根をしがんで澱粉を食していたものと考えられています。いまでも韓国などでその風習が残っているそうですが、とてもにおいが強く、食べ物と呼ぶにはふさわしくないようです。
かつて青森県では、[根餅]という、葛根を乾燥させて石臼でひき、小麦粉を混ぜて団子にし、蒸すか、茹でて砂糖か醤油につけて食べる方法が残っていたようです。寒冷地である青森地方はしばしば飢饉にみまわれており、このような時代、根餅は一種の救荒食として利用されていたと考えられます。 「クズ」の根をつぶし、水を張った桶の中で澱粉をもみだして沈殿させ、水を入れ替えながらアクを取り除く技術(水晒し法)があみだされた後、水晒しすればそのままでは食べられなかったものや、たとえ有害物質を含む根茎類であっても、食べられることがわかり、人々は飢饉から逃れられるようになったと考えられます。また、このような植物は栽培化が試みられるようになり、農耕の着想が生まれた可能性があります。
水晒し技術では、一度にたくさんの原料を処理することができるため、工業的な要素を含んでおり、近代の食品産業の基礎技術となっています。
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葛ソムリエは、葛の伝道師として葛の魅力を伝える活動をしています。吉野本葛に関して①普及・啓発活動、②機能性・保存性等の研究および有効性の提唱活動、③料理・加工品の開発等を行うことで、健康増進や食文化の育成および国内の葛文化の発展に寄与することを目的としています。葛ソムリエは年1回の講義を受けたうえで、試験に合格された方が葛ソムリエに認定されます。葛ソムリエになると天極堂の葛商品が最大2割引で購入できるなど特典もあります。興味のある方はお電話でお問い合わせください。(0745-67-2300)
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株式会社 井上天極堂では奈良県の伝統産業である吉野本葛をより多くの子供たちに知ってもらうため、「出前授業」という形で吉野本葛に関する体験授業を2012年より実施しており、毎年約90校、年間5000名以上の子供たちが参加しています。授業では葛という植物の根が白いでんぷん(吉野本葛)になるまでの工程を説明した後、実際に葛餅や葛まんじゅうを作り皆で食します。資料を眺めるだけでなく、聞いて、見て、触れて、調理して味わうという体験により、吉野本葛をより身近に感じることが出来ます。また、その体験を通じて奈良県には吉野本葛という素晴らしい伝統産業があるということを忘れないでいただきたいという思いもあります。詳細はお電話にてお問い合わせください。(0745-67-2300)
- 社 名
- 株式会社 井上天極堂
- 所在地
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<本社>
〒639-2251
奈良県御所市戸毛107番地
TEL 0745-67-1665 FAX 0745-67-0688
<橿原工場>
〒634-0833
奈良県橿原市忌部町321番地
TEL 0744-20-2601 FAX 0744-20-2521 - 創業
- 1870年
- 設立
- 1987年4月
- 代表者
- 代表取締役 井上昇吾
- 事業内容
- 吉野本葛及び製菓・食品材料の製造販売
- 主な商品
- 吉野本葛・葛城葛・わらび粉・冷凍とろろ・各種冷凍野菜ペースト・つくね芋・柿葉
・柏葉・サンキラ葉・桜葉・よもぎ・各種FD商品・その他製菓食品材料 - 取引銀行
- 南都銀行 りそな銀行
- 取引先
- 正栄食品工業株式会社 株式会社萬藤
東海澱粉株式会社 JA全農他(順不同) - 関連会社
- 株式会社サカエ 河南宏富士特産品有限公司 (中国)
- 1854年12月
- 井ノ上羽衛門、吉野葛の集荷仲買を始める
- 1870年1月
- 井ノ上清吉、吉野晒にて吉野本葛の製造を始める
- 1905年4月
- 井ノ上栄造、井上栄商店設立
吉野本葛の製造と山林物産の取り扱いを始める - 1945年6月
- 井ノ上栄次郎3代目店主となる
- 1950年9月
- 井ノ上昇4代目店主となる
- 1960年3月
- 製菓原料の取り扱いを始める
- 1968年10月
- 韓国よりサンキラ葉、柏葉の輸入生産を始める
- 1972年4月
- 敷地3000坪の新工場完成、
吉野葛をはじめ製菓食品材料等の製造を始める - 1982年5月
- 冷凍野菜ペーストの製造を始める
- 1984年9月
- 中国河南省土産公司と技術提携し、
柏葉等の輸入生産を始める - 1987年4月
- 資本金1,000万円で、株式会社井上天極堂設立
代表取締役に井上昇就任 - 1989年11月
- 代表取締役に井上昇吾就任
- 1990年3月
- 品質管理・研究開発室の新設
380㎡の冷蔵・冷凍設備新設 - 1991年2月
- 東京都品川区に東京営業所を開設
- 1993年1月
- 中国河南省に合併会社(河南宏富士特産品有限公司)を設立
- 1996年11月
- 天極堂奈良本店を開店
- 1999年2月
- 急速冷凍機導入・葛きり製造ライン新設
- 2001年5月
- 倉庫に電動式移動棚を設置
- 2001年8月
- ISO9001取得
- 2005年2月
- 静岡県三島市に関連会社イースタンフーズ㈱設立
- 2005年3月
- なら町に一福茶屋を開店
- 2005年10月
- 粉末芋加工室を新設
- 2007年3月
- 粉末よもぎ加工室を新設
- 2008年10月
- 近鉄奈良駅構内に近鉄奈良駅店を開店
- 2008年11月
- イオンモール橿原アルル内にカフェクデュウーを開店
- 2009年3月
- 橿原市忌部町に橿原工場を新設
- 2009年4月
- 橿原工場前に橿原店を開店、明日香の里葛花を開店
- 2012年4月
- JR奈良駅構内(ビエラ奈良2F)にJR奈良駅店を開店
- 2013年3月
- 近鉄百貨店奈良店地階に天極堂近鉄百貨店奈良店を開店
- 2015年9月
- 桜井市に飛鳥彩瑠璃の丘天極堂テラスを開店
- 2020年6月
- 奈良HACCP取得(橿原工場ペースト・カップライン)
- ●本社
〒639-2251奈良県御所市戸毛107番地 - ●橿原工場
〒634-0833 奈良県橿原市忌部町321