1870年創業の葛の老舗「井上天極堂」が、10月から吉野本葛を使ったスープ「葛のとろみポタージュ」を販売している。葛のとろみで熱を逃がしにくく、よりなめらかな食感が楽しめる。
うまみたっぷりで緑が鮮やかなほうれん草、香り高い宇陀金ごぼう、ほっこりと優しい味のキクイモの3種類。
「山口農園」が作る宇陀産の野菜パウダーを使用し、熱湯を注ぎレンジで温めるだけで、個性豊かな風味を味わえる。野菜は、にんじんや小松菜など20種類から、葛と最も相性が良いものを厳選した。
商品開発には葛ならではの苦労もあった。葛粉は、一般的なインスタント食品のようにそのままお湯をかけるとだまになってしまう。ポタージュのなめらかな食感を実現するには熱湯を注ぐ前に水で溶く必要があった。「少しでも手間を省けるように」と1年以上試作を重ね、葛粉の分散性を高めることに成功。水で溶かさず最小限の手間でスープを作れるようにした。
同社広報の高田茉里奈さんは「寒い時期にぴったりのポタージュで心も体もほっと一息ついてほしい」と話している。