2020年12月10日食品化学新聞で「天極葛乳酸菌」について掲載いただきました
「吉野本葛」乳酸菌を供給
高い免疫賦活・抗ウイルス性を確認
「吉野本葛」の老舗・井上天極堂(奈良県御所市)は、葛から分離・ナノ化処理した独自の「天極葛乳酸菌」を“免疫力”サプリメントなどの素材として、本格提案に乗り出す。
高い免疫賦活作用を有しており、中部大との共同研究から、インフルエンザウイルス感染による重症化抑制や早期回復が期待できることなどを確認。伝統とエビデンスで特長ある乳酸菌として普及を図る。
同社は、1870年の創業以来、吉野地方に伝わる独自の寒晒し製法(吉野晒)で葛根から抽出・精製した葛粉である吉野本葛の製販を手掛ける。
国内で葛粉生産が減少を続ける中、古来の伝統植物を未来に受け継ぐ取り組みとして、産官学研究などを通じ、吉野本葛の機能性研究を進めてきた。
この取り組みの中で、葛に存在する乳酸菌の一種がマウスの脾臓細胞でIL-12の高い生産能向上を示すなど非常に高い免疫賦活作用を確認。
単離した同乳酸菌を、葛を含んだ培地で培養することで免疫賦活作用を高め、さらにナノ化処理を施して乳酸菌体が小腸で取り込まれやすくした死菌タイプの「天極葛乳酸菌」を開発した。
自社の葛湯やタブレットで商品化しており、さらなる利用も広げるべく、免疫・高ウイルス分野で原料素材として本格供給に乗り出す。
機能性研究については、中部大・林京子研究室と共同でインフルエンザに対する感染防御効果をマウス試験で検証。同品を1㎎/日投与群と、タミフル投与群、コントロールで感染14日後の血清および気管支肺胞洗浄液中の中和抗体価を比較したところ、同品でコントロール、タミフルに比べ優位に高値を示すことなどを確認。継続接種による重症化抑制と早期回復、回復後の再感染リスク低減などが期待できる。また、県内複数の保育園を対象にインフルエンザ流行期でのモニター試験も実施。同品配合のゼリーを出した園でウイルス性感染率の罹患率が優位に低いことを確認した。