2020年ディスカバージャパンで吉野本葛をご紹介いただきました。
2020年ディスカバージャパンで吉野本葛をご紹介いただきました。
ゆっくりめぐれる時機到来!
京都と奈良はわずか1時間!
この秋は一緒にめぐるが正解です。
Disvover Japan 2020.11
新しい京都の定番か、奈良のはじまりをめぐる旅か。
Discover Japan(株式会社ディスカバー・ジャパン発行)は、日本の「モノ」、
124ページからは「はじまりの奈良」総集編です。
実は意外と知られていない!?奈良起源のもの、こんなにあります!
ということで、三浦雅之さんが主宰する「はじまりの奈良フォーラム」の連載の中から10テーマをご紹介されており、天極堂の吉野本葛も再びご紹介いただきました。
吉野本葛
料亭などで愛用される高級食材の吉野本葛。自然が育んだ葛の薬効、人と歴史が編み出した精製技術、葛に隠された可能性など、知れば知るほど葛に親しみを感じるだろう。
知るほどに活用したい国栖人の葛
葛とは、奈良県吉野郡の吉野川上流にある地名、国栖に由来すると言われる。日本書紀や万葉集にも登場する古い地名で、山に住んでいた人を国栖人ともいう。彼らが葛の根に含まれる効能を知り、生活に取り入れていたと考えられている。
しかし古代日本では葛を粉にした記録はなく、もっと原始的な摂取方法だったのだろう。本格的な葛粉生産が始まるのは、江戸時代から。九州の農学者・大倉永常によって『製葛録』が書かれ、葛粉の精製方法が広まった。全国各地で作られているが、中でも有名なのが奈良の吉野葛である。
葛粉は、葛の根をつぶして繊維状にし、そこから得られるでんぷんを何度も水にさらして精製していく。この製法を吉野晒と呼び、江戸時代から守られている。この製法には大量の美しい水が必要で、吉野川を抱える吉野山中が葛粉生産のメッカになったのだろうと推測できる。
2週間から1カ月をかけて真っ白になった葛粉は塊になり、切り出してから寒風にさらし、約3ヶ月間かけて乾燥させ、ようやく完成となる。葛粉は、とろみづけに使われるほか、葛きりや葛もち、胡麻豆腐などに利用されている。ちなみに、かつてさつまいもでんぷんを用いたものを葛粉と呼んでいた慣例が残るため、現在は葛根から採れる原料のみを用いたものを吉野本葛と呼び、そのほかのでんぷんを含むものを吉野葛と呼び分けている。
「吉野本葛は、奈良が誇ることのできる名産品です。もっと葛に親しんでもらいたい。」というのは、創業150年を迎えた「井上天極堂」の川本あづみさん。
葛根は生薬の原料として使われており、葛に多く含まれるイソフラボンは更年期障害の予防や緩和、骨粗しょう症の予防などの作用が期待される。さらに葛花も、乾燥させたものを水に煎じて飲めば二日酔いにいいとか。
「葛粉100%のロールケーキやパウンドケーキに加え、葛根から採取した乳酸菌を使った豆乳ヨーグルトも好評です。新しい食べ方を提案することで、吉野本葛が次世代にも親しまれるようになったらうれしいですね。」