2017年1月12日Fuji Sankei Business i で天極堂をご紹介いただきました

 

 

20170112産経ビジネスI表紙

 

 

10ページ、一面で大きく取り上げていただきました。

 

 

20170112産経ビジネスI

 

 

伝統の「吉野本葛」守り、魅力を発信

 

井上天極堂

 

 奈良県御所市戸毛にある「吉野本葛」の老舗「井上天極堂」の本社工場。長さ約4.7メートル、幅約2.8メートル、深さ約80センチもある撹拌層の中では、真っ白な液体が勢いよく撹拌され、波立っていた。

 

 葛の根をつぶして水でもみ洗いして取り出した、精製がまだ完全でない葛のでんぷん「粗葛」をきれいな水の中で撹拌、沈殿させ、アクと不純物を取り除く作業を行っているのだ。この作業を何度も繰り返し、約2週間かけて精製、吉野本葛を作るのが、代々受け継がれてきた「吉野晒」の製法だ。

 

 精製が終わった葛のでんぷん「葛粉」は、さらに細かいゴミなどを除去、殺菌し、仕上げるための「舟」とも呼ばれる沈殿槽に移される。

 

 沈殿槽の底に固まった葛粉は真っ白でなめらかだが、まだ水分が多い。このため表面に布を敷き、上に乾燥させたイモのデンプンを敷き詰めて葛粉の水分を吸わせ、カットしやすい40%ほどの水分量にする。「葛の匠」と呼ばれる葛職人が、沈殿槽から葛粉の塊を切り出し、もう一人の匠が包丁で表面に着いた細かなゴミやあく部分を削り取る「しり切り」をして成形する。

 

 「葛の匠」で、製造部係長でもある巽信吾さんは「葛粉は、水分を吸わせすぎるとひびが入りばらばらになるので、手で触った感触で一番良い水分になるようにしている。しり切りでは削りすぎないよう、均等な大きさになるように削る」と話す。

 

 葛粉はその後1、2週間かけてじっくり乾燥させて、やっと吉野本葛が出来上がる。

 

「白いダイヤモンド」

 

 吉野本葛と呼ばれるのは葛の根のデンプンだけを原材料にしたもの。葛の根のデンプンにイモのデンプンを混合した「吉野葛」とは違う。1キロの葛の根から出来上がる吉野本葛は100グラムほどで、希少性から「白いダイヤモンド」とも呼ばれる。

 

 葛の根は昔から生薬の原料に使われ、葛の根に含まれているイソフラボンの一種の成分は、血中コレステロールの低下や筋肉の緊張の緩和などに役立つと言われているという。

 

 日本の伝統的な食材で、体にも良いという吉野本葛葛。だが、葛きりや葛餅などの和菓子の材料、料理にとろみをつける食材という程度しか用途が知られていなかったことも事実だ。

 

ソムリエ出前授業

 

 そんな吉野本葛をより多くの人に知ってもらおうと、2012年に「葛ソムリエ協会」を設立。資格試験に合格した葛ソムリエはこれまでに約60人おり、奈良県内の小中学校に行き、吉野本葛の歴史や製法などを説明。実際に児童、生徒が吉野本葛で葛餅や葛饅頭を作って食べる出前授業も行っている。

 

 自身も葛ソムリエである経営企画室主任の岡本富美子さんは「葛粉はジャガイモのデンプンと比べて粒子が細かく、口当たりがなめらかで優しい。料理にとろみをつける食材として、高級料理店などで支持されていることや、昔から体に良いと知られていたから、今も使い続けられているということを説明している」とし、「子供たちには説明だけでなく、吉野本葛で葛餅などを作って食べてもらうことで、食感や味を覚えてもらい、吉野本葛に興味を持ってもらいたい」と話す。

 

 葛商品の販売の他、吉野本葛を使った料理を提供する店舗も奈良県内で6店舗展開。伝統食材の葛の魅力を発信し続けている。(山本岳夫)

 

 

日本の食文化 後世に伝えたい

 

井ノ上昇吾社長

 

ー葛の食材としての魅力は

 

 「胡麻豆腐や葛きり、葛まんじゅうなどの和菓子、和食のとろみ付などに使われてきたのは、おいしさ、口当たりの良さと共に、葛が体に良い事を昔から人々が知っていたからだと思う。『和食・日本人の伝統的な食文化』がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界から注目を集めているが、本物の食材を使った本物の和食が、後の世代にきちんと伝わっていくか不安でもある。吉野本葛という伝統的な食材で、日本の伝統の食文化を伝えていきたいと考えている。」

 

 

吉野本葛のこだわりは

 

 「吉野本葛は、先祖代々受け継がれてきた『吉野晒』という精製法で作られる。今も我社ではなるべく機械装置を使わず、『葛の匠』と呼ばれる職人らによって、多くの部分を人の手で作っている。そして、精製も完全に精製してしまうのではなく、葛の体に良い成分を残しながら製品にしている。」

 

 

ーさまざまな取り組みの狙いは

 

 「現在、奈良県内に6店の直営店があり、葛餅や葛きりのほか、葛の料理も提供している。それは、より多くの方に、吉野本葛を味わっていただきたいという思いからだ。ただ、昔のままであることを守り続けているだけでは廃れていくと思う。今の時代に合う様に変化をさせて次につなげたい。たとえば、吉野本葛を使ったロールケーキやパウンドケーキという焼き菓子を開発したにもその一つ。今のライフスタイルの中に、吉野本葛を取り入れ、おいしく、健康な食生活を楽しんでほしい。」

 

 

ー将来の展望は

 

 「吉野本葛が奈良県の誇れる特産品であるということを、もっと認知してもらえるようにしたい。葛ソムリエを育成し、出前授業をして、子供たちに吉野本葛の魅力を伝えているのもそんな思いからだ。」

 

イチ押し!
小麦粉不使用 くずの子パウンド

 

吉野本葛の可能性を広げた「くずの子パウンド」。

小麦アレルギーの人も食べられる

 

 小麦粉やベーキングパウダーを使わず、代わりに吉野本葛と大豆粉を使って焼き上げたパウンドケーキが「くずの子パウンド」。「小麦アレルギーがあっても食べることが出来る」と喜ばれているという。

 

 吉野本葛の活用方法を広げるため、焼き菓子作りに挑戦し、2001年にまずできたのが、小麦粉を使わず吉野本葛だけを使ったロールケーキ「くずの子ロール」。さらに吉野本葛の可能性を広げたいと、10年目に開発された「くずの子パウンド」作りで、カギになったのが大豆粉だという。

 

 吉野本葛だけではパウンドケーキの厚みまで生地が膨らまなかったが、大豆粉を入れることで成功。さらに、自然界にわずかしか存在しない「希少糖」を使用していることで、優しい口当たりになっている」という。1個216円

 

とても大きな記事でご紹介していただき、感動です。
これを読んでくださった方が少しでも吉野本葛に興味を持ってくれるといいなと思います。