山遊び塾ヨイヨイかわかみの「樹齢約400年『歴史の証人』フォレストウォーク」に参加しました

「山遊び塾 ヨイヨイかわかみ」は、奈良県川上村を中心とした奥大和の自然・文化・歴史の魅力を掘りおこし、山村でのエコツアー推進に取り組むガイド団体です。
「ヨイヨイ」とは地元の言葉で、「散歩する、歩き回る」という意味だそうです。
(今回ご紹介するツアー以外にも、ガイドブックにはのっていない、ここでしか体験できない魅力がありますので、ぜひ川上村で遊ぶ際にはヨイヨイかわかみをご利用ください。)

今回参加させていただいたのは「樹齢約400年『歴史の証人』フォレストウォーク」です。
人の手で植えられた日本最古の杉を見に行きます。
*川上村の山のほとんどが、林業のための山であり、自由に登山ができる場所はありません。歴史の証人も必ず「山遊び塾 ヨイヨイかわかみ」の主催するツアーにお申し込みください。

登山道ではないので、入り口もガイドがいないとわかりません。
今日のツアーガイドはヤッスーさん。
入ってからしばらくは急登が続きます。
谷側に滑り落ちないように慎重に歩きます。
途中に大きな切り株がありました。
この木でも100年は経っているのではないかと思うくらい大きな切り株なのですが、歴史の証人は比べ物にならない大きさとのこと。どんな木なのかワクワクします。

道中ではヤッスーさんが木や森についていろいろなお話をしてくれます。
例えば上の写真。
風景が全然違いますが、実は同じ場所に立って撮影した風景です。
先の写真は細い木が密に立っています。
後の写真は木が少なく、1本が太くなっています。
この違いは何でしょうか?
奈良では杉を植えるときに密に植えます。
そうすることで木がまっすぐに育ちやすいのだそうです。
そして年数がたつにつれて木を間引いていくことで、木そのものも太く成長するし、空が見えて太陽の光が差し込み、下草が生え、豊かな森に成長します。
また、間引かれた木はその太さに応じた用途がありますし、100年以上経って太くなった木にもそれに応じた価値が生まれます。
奈良の林業は何年もかけてよりよい方法を研究されてきたのですね。

お話を聞いて改めて上を見上げると、太く成長した木々の間からきれいな青空を見ることができました。
登山で山を歩いている時はうっそうと茂る木々に覆われている場所も多いですが、人の手で手入れされた山には、また違った特徴があり、それには理由があるということが、ガイドをしていただくことでよくわかりました。

今日のメインは「歴史の証人」ですが、川上村ではかわいい苔もたくさん見られます。
思わず立ち止まって写真を撮っていると、ヤッスーさんが名前を教えてくれました。
上はヒノキゴケ。
スギゴケみたいにピンと立っているのではなく、ちょっとしっとり、つややかで、もふもふした感じ。
次の苔は何だったかなぁ…。せっかく名前を教えていただいてもすぐ忘れてしまいましたが、しっとりぺったり張り付いている感じ。
ヤッスーさんは「苔ツアー」もしていて、ルーペを使って苔を観察したり、スマホできれいに写真を撮る方法も伝授していただけるとか。
私も苔に興味津々で、次は苔ツアーに参加したいと思っています。

はじめは急登で子供たちも疲れ気味でしたが、途中からはゆるやかになり、登り始めてから30分程で到着です。
お話を聞きながら歩いているとあっという間でした。
下多古村有林は日本遺産に指定されていて、樹齢400年を超えるという「歴史の証人」も村のシンボルとして保存されています。
「歴史の証人」はもちろんですが、周りの木々も先ほどまでの木とは比べ物にならないくらい太いことが分かります。
折角だから、子ども達6人で手をつないでみました。
いっぱいに手を伸ばせば、ぎりぎり6人で1周することができました。

この森のすごいところは、「人の手で植えた木」というところです。
太古の杉、巨大な杉といえば、一番に思い浮かべるのは「屋久杉」ではないでしょうか。
私たち天極堂スタッフも数年前に社員研修旅行で屋久島まで縄文杉を見に行ったことがありますが、それはそれはやっぱりすごいです。
でも、屋久杉は自然に生えた木であるのに対して、この「歴史の証人」は、400年前、江戸初期の村人が、「未来の私たちのために植えてくれた木」だということです。
木がそんなすぐに育たないことは昔の人も知っていたはずです。
でも、売れる木を切るだけでなく、自分の代ではお金にならないと知っていても、未来の子孫のために木を植える。
今ほど生活に恵まれているわけでもない、厳しい時代の話です。
そんな時代に、未来の子孫のことを考えた行動をとることが当たり前だったこの村の人々というのは、本当に尊いし、すごいことだと感動を覚えます。
先祖が託してくれた木を、森を、私たちは大切に利用できているかというと、そうではない気もします。
帰りの道々、子ども達と一緒に、自分たちに何ができるか、私たちは先祖から何を受け取って何を未来の子孫のために残したいのか、ということについて考えてみました。
天極堂では、今、日常ににあふれている「当たり前のこと」も、「多くの人の努力」で守られている、「有難い」ことなのだという話をよくしますが、この「歴史の証人」についても大切にしたいと思いました。

*みなさん、百聞は一見に如かずです。興味のある方はぜひツアーにご参加ください。
 山遊び塾ヨイヨイかわかみの「樹齢約400年『歴史の証人』フォレストウォーク」

帰りに川上村の他の名所「匠の聚」と「蜻蛉の滝」に立ち寄りました。

この日のツアーは短縮バージョンだったため、昼前に解散。
そこで、ヤッスーさんがおすすめしてくれた「匠の聚」と「蜻蛉の滝」に立ち寄りました。
まずは「匠の聚(たくみのむら)」にあるカフェでランチ。
子ども達はそれぞれ好きなものを、私は名物の「ダムカレー」(写真を撮り忘れました…)をいただきました。

「匠の聚」には大人も子供も楽しく過ごせる施設があります。
今回お食事をいただいたカフェの下にはギャラリーがあり、この日は川上村の写真展が開催されていました。また、陶芸教室などもされていて、気軽にアートを楽しめそうです。

昼食後は「蜻蛉の滝」へ。
大きな駐車場があり、公園を通って少し階段を上ると、弁財天・不動明王と役行者をまつる祠堂があり、奥に滝が見えます。

私の写真でがかなりいまいちで、滝の良さがほぼ伝わっておりませんが、3か所の滝見台があり、すぐ近くでマイナスイオンを浴びながら滝を見られます。
40分程で滝の周りを一周でき、散策するのにちょうど良い距離です。
今は秋で紅葉が美しかったですが、公園にはたくさんの桜が植えられていて、春もさぞ素晴らしいのだろうと思います。

川上村の魅力を満喫する一日となりました。
今回小学5年生の子供たちを連れて行きましたが、子どもと一緒に歴史を学び、自然を体験するのにちょうど良い内容だと思います。
ぜひ、奥大和の魅力を体験しに来てください。