皆様こんにちは。株式会社井上天極堂の赤井と申します。

今回は奈良を代表するお寺である東大寺の二月堂を訪れました。

東大寺といえば「大仏」のイメージが強く、修学旅行や観光で訪れた方も多いのではないでしょうか。
あの大きな大仏のある建築物は「大仏殿(だいぶつでん)」と呼ばれ、今回私が訪れた二月堂は大仏殿から少し離れた場所に位置しています。

実際に東大寺周辺に設置されている地図ではこのように大きな大仏殿の東側に二月堂があることが分かります。

今回は国宝にも指定されている転害門(てがいもん)から歩き二月堂へと向かいました。

転害門は天平時代の建築方法である伽藍建築(がらんけんちく)の様子が伺える数少ない建築物で、多少鎌倉時代の修理で改変されていますが基本的には奈良時代に建築されたままの状態です。名前の由来は「災い転じる門」から転害門と呼ばれています。

転害門から二月堂は徒歩でおよそ20分、途中には大仏殿や正倉院も見られます。上り坂とまでは言いませんが斜面も多く、ハイキングコースとして訪れる観光客も多いです。

斜面を登り、さらに石段を数段歩くと二月堂が見えてきます。

「二月堂」と大きく書かれた灯篭に、さらに上に位置する二月堂の空気がひしひしと伝わる石の階段。
観光客で賑わいを見せる大仏殿とはまた違った、奈良のお寺らしい静かで厳かな雰囲気が魅力的です。

石の階段を登れば、いよいよ二月堂本堂に到着です。

二月堂は、旧暦の二月(現在の二月下旬から四月上旬頃)に修二会(しゅにえ)という行事が行われていたためこの名がついたとされています。
修二会は、かつて疫病や反乱などの「国の病気」と考えられていたものを取り除き鎮護国家や五穀豊穣など人々の幸福を願う行事とされていました。
時が経った現在も行事や文化が続いており、修二会自体は三月一日より二週間にわたって行われています。
別名「お水取り」と呼ばれ、二月堂の舞台で火のついた松明を振り回す姿はとても豪快で一見の価値があります。また、その松明の火の粉を浴びることで健康になる、幸せになると伝えられています。

先程も書いた通り二月堂は斜面や石段を登った先にあるためお堂からの眺めはとても良く、特に今回は晴天に恵まれていました。
個人的に「二月堂といえばお水取り」というイメージがあるので昼間に訪れることはかなり少なく、改めて見る絶景に、そして山上のお寺ならではの清々しい空気とお香の香りに感動しました。

本堂へのお参りが終わり、そこから下りる際の階段もまた厳かな雰囲気が漂っています。
建築に使われたであろう木材の香りがほんのりと感じられ、思わず心が安らぎます。
横から差し込む日光に照らされている感じもとても綺麗です。

二月堂の御本尊は二体の十一面観音(大きさが異なることから大観音・小観音と呼ばれている)ですが、一般公開されていない秘仏のため拝観の際に見ることはできません。また、修二会の法要を務める練行衆の方々でさえも見ることができないと言われています。
※こちらの東大寺公式ホームページでも『絶対秘仏である』と表記されています。
http://www.todaiji.or.jp/contents/guidance/guidance6.html

観光地としても有名な大仏殿とは少し違った素朴でありながら華やかな雰囲気の、奈良のお寺らしさがある二月堂。
そして天平時代から行われる、豪快な動きやビジュアルで皆の幸福を願う行事の修二会。

ぜひ奈良市へ観光の際に訪れてみてはいかがでしょうか。